医者が『LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界』を読んだ正直な感想とレビュー

ドクターノミゾ@doctor_nomizoです。現役の医者やってます。

医者じゃないのに医者と名乗るのは医師法違反なので、ドクターノミゾの医師免許を見たい方はコチラのプロフィールをどうぞ。

大学生の頃は医学の勉強と部活で忙しすぎて読書なんて全くしてませんでした。

最近、中田のあっちゃんのYouTube大学でよく書籍の内容をわかりやすく完結にまとめた動画を出してくれているのに気づき、これなら本を読まなくても内容がわかって勉強になると思い通勤時間などによく聞いていました。

その中で紹介されていたデビッド・A・シンクレア 教授の『LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界』が非常に気になったため、購入して読みました。

たしかにYouTube大学は専門用語を使用しないので一般の人にはわかりやすいですが、エクストリームに解説するため本に書いてあることすべてを当たり前ですが理解することはできません。

この本の内容は医学知識や生化学の知識がないと本当の理解は難しい本です。

(医者である自分もこの本を100%は理解できません。)

しかし、この『老いなき世界』は、ドクターノミゾが日頃考えている、老齢医療に対する答えだと実際に読んで感じました。

ということで、『LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界』を読んだ感想とドクターノミゾが考える今後の医療のあり方をつづっていきたいとおもいます。

寝たきりの老人は人間ではない

冒頭でこの本の著者であるシンクレア教授はこのように語っています。

「祖母は人ではなかった」

あまり声を大にして言うことはできませんが、実際、臨床の現場で働いているドクターノミゾが普段思っていることをズバッと言ってくれて気持ちが良くなりました。

「寝たきり、認知症、会話不可能、胃ろう栄養の患者さんが生きている意味ってなんだろうか?」

毎日の臨床での疑問です。毎日毎日考えます。

正直、彼ら・彼女らは人間(ヒューマン)ではありません。

生物学的にはホモ・サピエンスでしょうが、社会性をすべて失い、命はすべて医者に握られています。

決して一人で生きていくことはできず、点滴や胃ろう栄養をやめればすぐにでも亡くなってしまうでしょう。

そんなご老人たちを莫大な医療費をかけて治療ないし延命させる意味はあるのか?

意思疎通がまったくできなく、彼らの意識はあるのかないのか不明なため、治療を希望するのかは本人には全く確認できません。

彼らを生かす理由は肉親である家族のためです。

家族は

「せめて点滴だけでも・・・。」

と言ってきます。

家族としても元気だった頃のおじいちゃん・おばあちゃんを覚えているため長生きしてほしいと思うからこその言葉であることは理解できます。

しかし、その家族の目の前にいるのは、はっきり言ってしまうと生きた屍です。

彼らは、生産性はなく、社会性もなく、若人があくせくして働いて稼いだお金を湯水のようにつかっていきます。

もはや人間ではありません。

そのような状態の生物を長く生かしておく意味は・・・?

現代医療は少子高齢化が叫ばれています。

このような意思のない生きた屍を生かすために莫大な医療資源が投下されています。

彼らを思い切って切り捨てれば、これから生まれてくる未来の子どもたちに投資できます。

保育士の給料をあげることも、保育園を新設することもできるはず。

現実問題として、政治や世論、そして製薬会社がそれを許すことはないでしょうが。。。

「ヒトはいつ死ぬのか?」の答えはないかもしれませんが、ドクターノミゾ的には自分の意思表示ができなくなってしまえば、それはもう人間としての機能はなくなってしまったと同義、つまり死んでいると思っています。

健康寿命こそが本当の指標

日本の平均寿命は厚生労働省のまとめによると、2019年で女性が87歳、男性が81歳となっています。

これは世界的に見ても大変立派な数字で、医療福祉大国である日本の誇るべき数字とも言える・・・のでしょうか?

現場で働く医師としては、こんな数字になんの意味も感じません。

平均寿命なんて伸ばそうと思えばなんぼでも伸ばせます。

生きた屍を大量生産すれば平均寿命は伸びるはずですから。

大事なのは健康寿命です。

老人が嫌いだから、さっさと老人にかける医療費を切り捨ててこれから生まれてくる未来の子供に全部投資せよと言っているわけではありません。

健康的で、人間らしい生活を送っている方々はこれからも健康的であってほしいし、そのための医療は惜しむ必要はないと思ってます。

誰もが年は取りたくないと思っています。

家族の迷惑にかかる前にさっさと死んでしまいたいと思っているヒトも多いでしょうが、現在の医療はそれを許しません。

しかし、90歳になっても100歳になっても、若々しく健康的でいたらどうだろうか?

孫の孫と一緒になって公園ではしゃげるのなら長生きしたいと思う人はいないのだろうか?

多くの人にとって、年をとりたくない理由は、健康的じゃなくなるからです。

関節は痛くなるし、筋肉も衰えるし、内蔵もガタがきている。

ようするに病気になるから年をとりたくないわけです。

今後の医療は、健康寿命を伸ばす、つまり予防医療にどんどんチカラを入れていく必要があるとドクターノミゾは思います。

平均寿命は伸びれば伸びるほど社会にとって害悪ですが、健康寿命は伸びれば伸びるほど、社会にとって有益です。

予防医療がなかなか発展しない理由

予防医療がなかなか発達しない原因のひとつとして、労働力を担っている年齢層の時間のなさが考えられます。

仕事、仕事の毎日で、生きていくだけで精一杯。

時間的余裕も、精神的余裕もないため、自分の健康に気を使う時間がありません。

労働者の全員が9時〜17時で土日休みであれば、それだけで間違いなく健康寿命は伸びます。

健康と運動は切っても切り離せない関係です。

アメリカの研究で、土日に3時間運動するヒトとしないヒトでは、心血管疾患(心筋梗塞など)を患う可能性に有意な差があるというデータもでています

しかし、健康診断でひっかかった患者さんがやってくるドクターノミゾの外来でなんぼ運動の重要性を説明しても

「仕事で時間がありません・・・。」

という返答がよく帰ってきます。

ドクターノミゾはなるべく朝早くおきて、15分ぐらい犬をつれて散歩しているのですが、河川敷を散歩しているのはみな仕事を引退した高齢者ばかりです。

日本人は間違いなく働きすぎです。

そんなに働く必要あるかと思っています。

一概には言えませんが、努めてる会社の経営者のせいとも考えます。

自分はお金よりも圧倒的に時間が欲しいです。

時間がないと、精神的な余裕が生まれず、日々生きるだけで精一杯になります。

時間にゆとりがあるだけで幸せな気持ちになれます。自由を感じることができます。

働きすぎだよニッポン人

健康寿命を伸ばす秘訣

これまで、自分の考えをつらつら書いてきましたが、本書で指摘されている健康寿命を伸ばす秘訣を教えます。

正直言って、ありきたりなものです。

全部聞いたことがあるおのでしょう。

はい。ありきたりです。とにかく運動しようと言ってます。1日15分でいいから散歩しようと述べられています。

人間ってのはもともと狩猟採集民族です。

あるときホモ・サピエンスの中で農業革命が起きてしまったがために現代の世界のような発展を遂げ、狩猟採集をしなくてよくなりました。

しかし、狩猟採集しなくてよくならなくなったからといってヒトの本質は数万年たらずではたいして変わりません。

もともとヒトは身体を動かす生き物です。

パソコンのキーボードを毎日イスに座って打つようにはDNAにデザイン設計されていません。

これもありきたりですね。

本書では断食がすすめられていますが、断食にも色々やりかたがあります。

ここでも過去の話を持ち出しますが、数万年前の我らが祖先、狩猟採集をしていたホモ・サピエンスは1日3食も食べていたでしょうか?

農業革命によって人間は食事に困らなくなりました。

その結果、1日3食に加え、小腹がすけばお菓子を完食と、どう考えてもカロリーオーバーです。

食べているものの質も悪く、加工品まみれです。

ソーセージなどの加工肉は特に身体に悪く、世界保健機関、WHOでもタバコと並んで発がん性がある物質とされています。

現在、空腹を感じている時間に身体の中でオートファジーという反応が起きることがわかってきました。

これによって、古くなったタンパク質や間違って作られた異常なタンパク質が排除されるそうです。

その他にも健康的なメリットがたくさんあります。

どう考えても現代人は食べ過ぎなんですよね。

たまに美味しいものを食べるのは否定しませんが、毎日美味しものを食べる必要性はないと思ってます。

がんの部位ランキングをみても、上位はあっとうてきに消化器(胃・大腸・膵臓・肝臓)が多いです。

要は負担をかけすぎなんだと思います。

健康をうたう書籍の中で、少食をすすめる書物はたっくさんありますが、過食をすすめる書物をみたことはありません。

しかし、ほとんどの人の情報収集先はテレビですので、そんなことは知りません。

テレビではきらびやかな美味しい外食が毎日のように色々な番組で紹介されています。

テレビのスポンサーがそういった会社が多いからです。

テレビで間違っても、あまり食べないほうが良いなんて放送すると、スポンサーから怒られます。

資本主義の末路というか、サステナベーションがないというか、医者としては色々と考えさせられる問題です。

健康的に長く生きたいなら運動して、少食にして、身体に良いもの食べろってことです。

健康寿命を伸ばすサプリメントおよび薬

読者のなかで一番知りたいのはこれじゃないでしょうか?

飲めば健康寿命が伸びる薬やサプリメントはないのか???

本書のライフスパンでは、はっきりとした人間でのエビデンスはないが、マウスによる動物実験ではあきらかに健康寿命が伸びるとされているものが2つあります。

ひとつめが、ガレガ草という植物から発見されたビグアノイドという物質です。

日本では糖尿病の治療薬として用いられ、メトホルミンやメトグルコといった名前で販売されています。

自分もよく処方する薬で、めだった副作用もなく血糖値を下げてくれる超優秀な薬です。しかも安い。(1錠10円ぐらい)

現在、残念ながら医者の処方でしかこの薬は飲むことができません。

しかも糖尿病と診断される必要もあります。

なので健康的なヒトではやくこれが飲みたいと思ってもなかなか飲めないのが現状です。

(この本読んで、メトホルミンの処方を増やしたのは内緒です。)

こちらはサプリメントです。

サプリメントなので、一般的な個人も購入することができます。

動物実験では、NMNを摂取した群と摂取しなかった群であきらかに摂取した群で老化がおそくなったことが確認されています。

また、この本の著者であるシングレア教授の父にも内服をすすめたところ、若さを取り戻したかのように活発的になったそうです。

(プラセボの可能性はあるとシングレア教授は何度も強調はしています。)

問題点として、NMNはくっそ高いです。

値段が高すぎます。

シングレア教授はNMNを1日、1000mg、朝に摂取するそうです。

しかし、同じ量を摂取しようとしたら、Amazonで簡単に調べた限り、1ヶ月で4万円〜10万円もします。

粗悪品もかなりの確率で混ざっているようです。

飲めば100%健康的になるってんなら買う価値ありますが、まだ実験段階であり、絶対といえる科学的根拠はありません。

自分が飲むのは当分先になりそうです。

また、インフルエンサーであるイケハヤさんがこんな動画だしてました。

NMNサプリが今後価格競争の波が起きて安くなることを期待します。

メトホルミンもNMNも絶対にヒトの健康寿命が伸びるというデータはまだないです。

まとめ

  • ヒトはいつ死ぬのか?
  • 平均寿命より大事なのは健康寿命
  • 働きすぎだし食べ過ぎな現代人
  • 健康的に長生きしたいならメトホルミンとNMNを摂取せよ?

感想

シングレア教授は、実績も功績もものすごい方で、書物を読む限り信頼できます。

書物の中で人間は150歳まで生きられる、そしてそれは遠い未来の話ではないことが語られています。

老いとは病気であり、治す必要があると。

老いが病気だなんて、医者になって一度も考えたことがなかったため衝撃でした。

自分は病気を治すことにあまり積極的になれない、というか興味がない体質でした。

そんなんで医者になってしまったもんだがから、臨床の現場であまり楽しいとは思えていません。

もちろん患者さんには精一杯の治療はやってることは補足しておきますが。

しかし、この本を読んで自分の進む道が決まったかのように思えます。

病気を治すよりも、病気にならない体作りに興味があるとわかりました。

今後は、病気を治す病院ではなく、病気にならない体作りをする病院というのを経営してみたいと考えるようになってきました。

150歳まで健康的に生きていけるなら、今の自分の人生は折返しにもまだまだ足りません。

やりたいことを精一杯やって死のうと思います。

ちなみにドクターノミゾはメトホルミンもNMNも摂取しませんが、少食と運動は実践することにしました。

いつまでも若く、健康的で、孫の孫とも公園ではしゃいで遊べるような人生にしたいと思います。

最後に一言

NMN安くなってくれ!