20年後にAIによりなくなる診療科目トップ3を医者が予想してみた


医者じゃないのに医者と名乗るのは医師法違反なので、ドクターノミゾの医師免許を見たい方はコチラのプロフィールをどうぞ。
AIやロボットの技術躍進がめざましく、たびたび人間の仕事が奪われると話題になっています。
18世紀に起きた産業革命では、いわゆる単純労働といったものが機械によって置き換わりました。
しかし、今回の第3次AIブーム、AI革命とでも言うべきものは、単純労働ではなく知的労働が機械によって取って代わろうとしています。
医者の仕事の多くは知的労働です。
診療科目によって異なりますが、知的労働に比重が置かれている診療科目はAIに仕事を奪われる可能性が高いです。
この記事は、将来医者になるであろう医学生ないし研修医の先生方に向けたものとなっています。
AIがない時代であれば好きな科に行けばよかったですが、今後の時代はそうもいきません。
一生懸命勉強して専門医を取得しても、20年後に何の役にも立たなくなったら・・・?
真剣に未来について考えて診療科目を考える必要があります。
結論から言うと、AIによって仕事がほとんどなくなると考えられる診療科目のTOP3は、
- 第1位 放射線診断科
- 第2位 病理診断科
- 第3位 皮膚科
です。
あくまでドクターノミゾの考えではありますが、自分以外の医者も、またこのTOP3で現在働いている医者も概ね納得してくれると思います。
共通点は『診断』に重きを置いている点です。
詳しく解説していきます。
第1位 放射線診断科

20年後にほぼ確実になくなると考えられるのが放射線診断科です。
これはドクターノミゾだけの考えではなく、とある調査で自薦他薦でAIでなくなると予想される診療科に堂々の1位をとりました。
放射線診断科の主な仕事はCTやMRIの画像読影です。
読影というのは、画像をみて病気を予想する仕事になります。
医者ですが、読影という仕事のみで言えば患者さんと関わることはありません。
医者じゃないヒトでもわかると思いますが、画像だけみて病気を予想するって、それなんてAIに向いた仕事なのと思いませんか?
いわゆるビッグデータを集積し、コンピュータに予想される病気を当ててもらえばよいのです。
さらにいえば、2020年現在の時点で、こういったソフトウェアがどんどん開発されてきています。
これから放射線診断科に行こうと考えている医学生は、踏みとどまったほうがよいかもしれません。
放射線診断科の一番いいところは、どこでも働けると言ったところです。
画像さえあればいいのですから、海外に留学中でも日本の読影の仕事が今まではできました。
しかし、今後はこういった放射線診断科に特徴的な旨味というのはなくなります。
放射線診断科に残される仕事は、肝臓がんなどで行われる動脈塞栓術などのカテーテル治療になります。
癌治療における放射線治療に関しても、コンピュータにどこに癌があるか覚えさせて、XYZ軸を決めて放射線を当てるだけなので医者のチカラはそんなに必要ありません。
これからの放射線診断科のメインの仕事は動脈塞栓術となっていくでしょうが、放射線診断科の9割以上の仕事がCTやMRIの読影となっているため、そのほとんどの仕事をAIに奪われると言っても過言ではないでしょう。
動脈塞栓術を極めたいと考えている医学生ないし研修医以外にはまったくおすすめできない診療科になりました。

第2位 病理診断科

20年後には病理診断科もほぼ確実になくなる診療科の1つです。
理由は、放射線診断科と同様に、人間に接しない、診断がメインといったところです。
病理解剖医は、生きてはいませんが人間に接するため、まだその仕事は残る可能性があります。
医師免許証をもたないヒトが人間の解剖を行うようになるとは考えにくいためです。
しかし、病気の細胞を顕微鏡で観察し、病気を予想するというのは非常に放射線診断科の仕事に似ています。
簡単に言えば、画像をみて病気を予想するということです。
AIの得意分野です。
病理切片をつくるという仕事は残るかもしれませんが、それは医者じゃなくても臨床検査技師ができる仕事です。
病理診断科のほとんどの仕事をAIが奪っていくことになるでしょう。
病理医の主な仕事は、死因を判明させるための病理解剖になるでしょうが、そうそう頻繁に病理解剖はありません。
医療が発展すればするほど病理解剖も不必要になってきます。
これから病理医になりたい医学生・研修医のみなさんは一考の余地があると考えます。

第3位 皮膚科

20年後には、皮膚科もなくなっている可能性が高いです。
皮膚科は『スナップ ダイアグノーシス』といわれる言葉が有名です。
ダイアグノーシス(diagnosis)というのは英語で、日本語の意味は、『診断』です。
また診断という言葉がでてきましたね。
AIは治療より診断が得意です。
つまり、診断することがメインの診療科目はAIにとって代わられる可能性が非常に高くなります。
皮膚科も例にもれず、皮膚を目で見て、その病気が何であるか当てます。
治療もそのほとんどが、ステロイドを塗るか、免疫抑制剤を塗るか、外科的に切除するかの3つです。
外科的切除は誰にでもできませんが、皮膚の病変を写真にとってAIに診断してもらい、ステロイドや免疫抑制剤を処方するのは医者なら誰でもできます。
皮膚科に残される仕事は、皮膚腫瘍や皮膚悪性腫瘍の外科的手術となります。
大きな病院の皮膚科はこういった仕事があるためなくなることはないでしょうが、開業の皮膚科クリニックは難しくなっていくことでしょう。
将来皮膚科で開業するつもりの医学生や研修医は覚悟する必要があります。

その他の診療科目の未来
今後の未来はどの診療科目も、AIやロボットのチカラを借りていくことになります。
仕事が奪われるというよりも、仕事がやりやすくなっていくとドクターノミゾは考えています。
普通の肺炎や尿路感染、糖尿病の診断を間違うことはありませんが、病気というのはほんとうにたくさんあって、医者人生で一度も見ることがないような稀な病気も存在します。
そういった診断がなかなかつかない稀な病気をAIが診断してくれることは、医者にとっても患者さんにとっても喜ばしいことです。
一般内科もAIによって診断に関しては仕事がとられてしまうかもしれませんが、その他に多くの仕事があります。
救急対応だったり、患者さんへの病状説明、中心静脈カテーテルの穿刺や胸水穿刺、訪問診療、看取りなどなど。
シングルタスクではく、マルチタスクなためすべてがAIに取って代わられる可能性は低いです。
これから診療科目を選ぶ上で、色々なことをやっているマルチタスクな診療科は20年後でも存在していることでしょう。
たとえば産婦人科の仕事は医者の診療科目の中でも相当多岐にわたります。
出産や婦人科癌の手術、化学療法、内科的診察にエコーなどなど。
産婦人科は20年後になくならない診療科の筆頭ともいえます。
まとめると
『診断』が一点突破の診療科はなくなる!
ということです。
将来の診療科を考える上で参考にしていただけると幸いです。

まとめ
- AIによってほとんど仕事が奪われる診療科ランキング
- 第1位:放射線診断科
- 第2位:病理診断科
- 第3位:皮膚科
感想
本来なら自分がやりたい科にいくべきですが、QOLなど考えるとやりたいことだけを重視するのも難しいかもしれません。
色々言いましたが、放射線読影が心の底から好きなら給料が安くても、将来仕事がなくなるかもしれなくても放射線診断科に行ってもいいかもしれません。
本当に好きなら、きっとAIを上回る仕事ができるはずです。