お医者さんが所属している『医局』って何?元医局員が教えます。

ドクターノミゾ@doctor_nomizoです。現役の医者やってます。

医者じゃないのに医者と名乗るのは医師法違反なので、ドクターノミゾの医師免許を見たい方はコチラのプロフィールをどうぞ。

みなさん医局という言葉を聞いたことありますか?

最近では〇〇医局・○○医局員という言い方ではなく、○○教室・○○教室員という言い方に変わってきているところもあります

ですが、医局という言葉が世間一般的でしょう。

自分は医者になるまで、医局というものがどういったものかイメージできていませんでした。

医学生時代にも医局という存在があることはしっかり認識していましたが、実際に医局に入ってみて、具体的に何をやっている集団なのかはっきりと理解できました。

この記事は、医者になりたい中高生、そして医学生に向けた記事になっています。

また医者の奥さんも、旦那がどういった組織に所属しているかという理解の一助となることうけあいです。

医局という組織はいったいどういった組織なのか、医局に入るメリットデメリット、医局に入らない選択肢はあるのかといったお話をしていこうと思います。

ちなみにドクターノミゾは研修医2年目前半で医局に入局し、医者4年目で医局が嫌になって辞めました。

医学部の教授をトップとしたピラミッド組織、それが医局

医局というのは、教授をトップにしたピラミッド構造の上下関係がある医者の組織団体です。

構成員は医者のみです。

例えば、東京大学には循環器内科があり、そこには東京大学の循環器内科の教授がいます。

そしてこの教授をトップとして、循環器内科を専門とするまたは専攻する医者(循環器内科を専門にしようと考えている医者)が集まった組織になります。

医局に所属している人を医局員といい、東大病院で働いていても他の市中病院で働いていても医局員は医局員です。

特に大学で働いている医局員は若手(専攻医や大学院生)を除いて役職が与えられていることがほとんどです。

大学にもよりけりでしょうが、ドクターノミゾがいた大学には、准教授・講師・助教といったポストがありました。

大学や科によって講師の数や助教の数は違いますが、教授は一人だけです。

たまに臨床教授とかいう謎の役職がありますが、それは世間一般的な教授ではありません。

医局のトップは、主任教授ただ一人です。

また、医局はよく部活に例えられます。

バスケ部やラグビー部など、いわゆる同じスポーツをやっている仲間で、基本的に上下関係があり、キャプテンが存在します。

医者の世界にも色々な科があり、消化器内科だったり精神科だったりと、それぞれに医局が存在します。

さらに言えば大学によって医局は違い、東大の循環器内科の医局と京大の循環器内科内科の医局は別物です。

バスケ部だとしても、高校や大学が違えばまったく違う団体ですよね?それと同じです。

この医局というシステムは、とてもいい仕組みだとも思いますが、やはりデメリットも存在します。

そんな医局というシステムの役割などをこれから詳細にお伝えしていこうと思います。

医局というのは部活みたいなもんです。

日本における医局の役割

医者はたいていの場合医局に所属していますが、この医局というのは何をやっている団体なのでしょうか?

医局の役割は基本的に3つあり、研究・教育・臨床という役割を担っています。

1つ目の役割〜研究〜

1つめの役割である研究についてお話します。

研究は基本的に大学病院だけでしかできなく、医学研究に興味のある医者が大学に残り、教授指導の元で研究・論文の執筆にはげみます。

医者には2つの種類がいます。

患者さんと直接会い治療する臨床医と、ひたすら医学研究に励み、ネズミをいじって論文を書いている研究医の2種類です。

ほとんどが臨床医になるのですが、臨床が肌に合わなかったり、研究が好きだったりすると研究医の道にすすむわけです。
(臨床も研究もどっちもこなすエリートもけっこう存在する。)

教授も基本的には研究医です。論文を1本も書いていない教授はいません。

2つ目の役割〜教育〜

2つ目の役割は教育です。

医学生は6年目の春に医師国家試験に合格すると晴れて医者になれるわけですが、そこから2年間は研修医といって色々な科を回ります。

外科や精神科、小児科、婦人科など、基礎的な科はほとんど回ります。

そして、将来何科の医師になるか決めるわけですが、たとえば循環器内科の医者になりたいと考えた場合どうすればよいのでしょうか?

循環器内科の医者と胸を張って言うには、循環器内科の専門医資格をとる必要があります。

この専門医制度というのは別に国が作ったものではなく、医者たちが個別に勝手に作っているものです。

しかし、歴史が深く権威あるものであるため、民間の勝手な資格(ジョ○フィット認定トレーナーなど)とは違い、日本の医療において重要な資格になっています。

そしてどの科でもこの専門医をとるためには医局に所属するのが常となっています。

医局に所属しなくても専門医自体はとれたりするのですが、たいてい医局に所属する医者が多く、医局にはいってれば必然的に専門医はとれるようになっているためみな医局に所属します。

医局員になると、大学や地方の医局がもっている関連の病院に派遣され、医局の先輩方に臨床のいろはを学びます。

たとえば、循環器内科であれば、心臓カテーテル治療の技術などを医局の先輩から教えてもらえるわけですね。

医局員にならないと教えてもらえないかと言われたら、決してそういうわけではないのですが、やはり医局員だと優遇してもらえるイメージはあります。

部活で例えると、自分の部活に入ってくれる後輩に対してであれば、いつかこの部活で活躍してもらえるかもしれないと思って一生懸命指導しますよね。

しかし、一生懸命指導したからといって、自分の部活に入らなかったらどうでしょうか?なんか意味ないというか徒労に感じてしまいませんか?

そういうことをしてはよくないですが、やっぱ自分の医局員の後輩に手術の執刀を優先させたりするのが人情というものでしょう。

そういったわけで、通常、専門医を取得したいと考えた場合、どこかしらの大学の自分がなりたい科の医局に入局するわけです。

(べつに出身大学ではなくても、違う大学の医局には入れます。佐賀大医学部出身でも東大医学部の循環器内科の医局に入れます。)

医局に入ると専門医を取る上で有利ではありますが、大学の医局まったく関係なしに動いているでかい専門性のある病院とかもありますので、そこで働けば医局員にならずとも専門医はとれたりします。

3つ目の役割〜臨床〜

3つめの役割は、臨床です。

臨床というか3つ目の役割は地方への医師派遣です。

大学病院は基本的にその大学の医局員で構成されています。では、地方や市中の病院はどうなっているのでしょうか?

東京などの大きな都市であれば、医者は募集しなくても勝手に集まってきますが、田舎の病院はどうでしょうか?

正直な話、田舎に人はあつまりません。医者も同じでそんなところに行きたくありません。

だからといって、その病院に医者があつまらなかったら病院は成り立たなくなります。

そしてその地域に住んでいる住人はまともな医療をうけるために数時間かけて大都市の病院に行く羽目になります。

こういった問題を解決するのが医局という存在です。

基本的に医局の教授の命令は絶対です。

教授が

「じゃぁ来年から△△先生は○○市の■■病院で働いてね」

といわれたら答えは「YES」以外ありません。

こうやって医局から地方の病院へと医者が派遣されているわけです。

この医局というシステムがなくなると地方の医療は崩壊します。

だれだって田舎の病院より、都市部の最先端の設備が整った病院で働きたいし、そこに住みたいです。

ドクターノミゾの考える医局の存在意義の中心がこの地方への医師派遣になります。

研究や教育は、医局がなくてもなんとかなりますが、地方の病院への医者派遣は、医局がないとなんともならない気がします。

医局が存在しなければその病院が各自各自で医者を募集、集める必要がでてくるわけですが、それは現状日本のシステム化ではとてもむずかしいことだと思います。

医局の役割は大きく分けて3つある。研究・教育・臨床(人材派遣)。とくに地方への医師派遣が日本という国にとってとても大事な役割となっている。

医局に入るメリット

医局に入るメリットですが、医局員でいる限り色々な面倒を見てくれることがあげられます。

たとえば一般的な社会人の場合、自分で働く会社は自分で探しますよね?

エントリーシート書いて、面接して、入社式をしてなどなど。

医局員の場合、自分がはたらく病院は自分で探しません。教授が勝手に決めます。

なので面接などは特にありません。一応履歴書は送りますが、それで採用を断られることは100%ありません。

他にも専門医取得の面倒を見てくれます。

専門医をとるためには医学論文を書く必要があります。

医局員である限り、それのお手伝いを先輩の医局員がしてくれるわけです。

また専門の学会、たとえば「日本循環器学会に入りたい!」と思ったとしても大抵の場合推薦書が必要です。

医局員であれば、教授がスルーパスで推薦してくれ学会員に簡単になれます。

また、研究医になりたい場合は医局に入る必要があります。

自由に研究したいなら、その大学のTOP、つまり教授になる必要があります。

民間企業でも研究できなくもないですが、研究には莫大な資金が必要です。

公的に税金が投入されるのは基本的に大学だけです。研究したいなら医局員になるしかありません。

医局員であるかぎり、医師として困ること(働く場所がないなど)は特になくなる。

医局に入るデメリット

医局に入るメリットは多々ありますが、デメリットも多々あります。

自分はこのデメリットが許容できなかったため、医局をやめました。

まず1つにこれはメリットでもあげましたが、働く場所が選べません。

教授に「どこどこ病院行ってね。次はここね。来年は大学戻ってきてね。」と医局員でいる限り言われ続けます。

つまり引っ越ししまくりです。

これが自分の中では最大のデメリットでしたね。

好きな病院で働きたいし、引っ越しもあまりしたくないです。

固定の病院でずっと働かせてもらえるなら医局に残っていたかもしれませんが、現実的に不可能なので(自分だけ特別扱いは許されない)、退局しました。

次のデメリットは会合の多さです。

やれ忘年会だ、やれ新年会だ、教授慰労会だなんだかんだで毎年たくさん会合があります。

正直めんどくさいんですよ。そんな会いっても何も楽しくないですし、お金もかかります。

もう一つのデメリットは論文を書かされるないし学会発表をやりなさいと言われることです。

大学の医局の本分は研究です。医療は日進月歩で常に進化し続けています。

つまり、大学としては医局員に論文をいっぱい書いてほしいし、学会でたくさん発表してほしいわけです。

それが大学としてのパワーになるからです。

これがドクターノミゾはめちゃくちゃ苦痛でした。

論文書いたり学会発表するのが好きな医者もいますが、嫌いな医者もいるわけです。自分は嫌いな医者です。

研究をしているドクターには大変申し訳無いですが、これ以上医療は発展する必要がないと自分は思ってます。

もう十分でしょう。平均寿命80年もあるんですよ?100歳以上のお年寄りもたくさんいます。

はっきりいって、人間は 長いこと生き過ぎです。

こんなに長生きしてしまうと、健全な世代交代がなされません。

日本、いや世界の先進国は少子高齢化で悩んでいますが、その原因の1つに間違いなく医療の発展があげられます。

もういいでしょう。十分医療は発展しました。これ以上はやりすぎです。

こういった考えが根底にドクターノミゾにあるため、研究があまり好きではありません。

自分の研究で、人間の寿命がまた伸びてしまい、後ろの世代に迷惑をかけると考えるとなんともいえません。

偉大な先輩医師たちのせいで、自分たちの世代は経済的に苦労しているとも考えています。

医学研究に関しては人それぞれ価値観が違い、色々な考えがあるため完全には否定はしません。

ただこれだけははっきり言わせてほしいです。

人間は長生きしすぎです。

自分は人様に迷惑かけて生き続けるならさっさと死んで、次の世代にバトンを気持ちよく渡したいと考えています。

医局に入る最大のデメリットは働く場所を選べないこと!

医局なんてシステムは、海外にはない

医局というシステムは日本独自のものだったりします。

おとなりの国、韓国には医局なんてシステムありません。

個人個人が働きたい病院で働き、病院ごとに医者を募集しています。

ドクターノミゾには韓国の医者の友人がいますが「医局ってなんだよー。ジャパニーズマフィアだよー。」って言ってました。

まったくそのとおりだと思います。

つまり、医局がなくたって、どうとでもなるんです。

日本は歴史的な背景から医局が存在し続けていますが、未来はどうなっているかわかりません。

今の子供達が医者になるころには医局なんてシステムなくなっているかもしれませんね。

(AIやロボットの発達で医者という職業自体なくなっているかもしれませんが。。。)

「医局=ジャパニーズマフィア」だと海外の医師に揶揄されました。

医局に入らないとどうなるのか?

ほとんどの医者(ほぼ100%ちかい)は、研修医が終わったら医局に所属することになります。

医学生のうちに医局に所属してしまう時期尚早?なヒトもいたりします。

そんな中で

「医局に入らなかったらどうなるのだろうか?」

と考える人も少なからずいるはずです。

医局に入らないとどうなるかというと、まず研修医終わった段階での課題は3年目どこで働くか問題です。

通常医局に入った場合は「○○病院で働け」ないし「研修病院で引き続き働け」と言われるわけですが、これがなくなります。

どういった医者になりたいかで進むべき道は変わってきますが、外科系の医者になりたいなら医局に入ることをおすすめします。

理由は、外科は技術だからです。

野球で例えると、なんぼバットの振り方を教科書で読んでも、試合で活躍できません。

実際にバットを降って、野球をやらないと野球はうまくなりません。

そして、外科医になるためには手術が必要であり、教科書をなんぼよんでも手術はうまくなりません。

先輩医師からの指導が絶対に必要です。

その指導を得るためには、医局に入ることが日本では手っ取り早いわけです。

内科系だとしても、循環器内科などカテーテル治療といった手技が必要な科は医局に入ることをおすすめします。

大きな病院で、その専門に特化した病院(○○ハートセンターとか)を探せば医局に入らなくても技術を学ぶことはできますが、そういった職探しの苦労をしたくない人は医局に入る方のが無難です。

内科系の医者の場合、医局に入らなくてもなんとかなります。

内科の種類にもよりますが、たいてい研修病院でそのまま働き続けることもできますし、違う病院で働くこともできます。

内科は基本的に知識が大切です。

指導医も必要ですが、内科医は技術的指導が多くないため、医局員でなくても色々と教えてもらうことができます。

結局の所、医局に入るも入らないも自由です。

みんなと同じことしないと不安な人は医局に入るほうがよいし、「自分の面倒は全部自分でみる!」という人は医局なんて入らないほうがよいです。

医局に入り、そして医局をやめたドクターノミゾ的には、自分の将来に明確なビジョンがある人は医局に入る必要はないと考えます。

明確なビジョンがない人は医局に入ったほうがよいと考えます。

また、研究医になりたいなら絶対医局員になる必要があります。

自分のケツを自分でふけないような人は医局に入ったほうが良いです。

まとめ

  • 医局とは部活みたいなもの
  • 医局の役割は研究・教育・臨床(地方への医師派遣)
  • 医局に入るメリットは、なんでもかんでも面倒をみてくれること
  • 医局に入るデメリットは、働く場所を選べないこと
  • 医局=ジャパニーズマフィア(笑)
  • みんなと同じじゃないと不安な人は医局に入るのが吉

感想

医局の悪口みたいな記事になってしまいましたが、地方への医師派遣という意味では医局は大切な存在です。

大切な存在ですが、なくてもまーなんとかなるんじゃないのかとも思ってます。

海外は医局がなくてもなんとかなってますしね。

自分の未来は全部自分で決めたい人は医局に入るのはおすすめできないです。

こういった記事を読んでくれる人はそういった人が多いので参考していただけると嬉しいです。

将来について何も考えてない人は、医局に入るほうがよいでしょう。

最後に一言

頼むから好きな場所で働かせてくれ